築地日記 vol.7 『霊場、恐山を行く』|思い付きが書籍になるまでの義理と人情の物語
築地日記
ーあれよあれよと、思い付きが書籍になるまでの義理と人情の物語。
忘れぬうちにここに記すー
大間の続き
N氏:よし。写真は頑張ってくれ。以上
時に杉さん、恐山は行ったコトあるか?
私 :恐山?いや、ないっす
N氏:あー、ダメダメ。日本人なら一度は行かなきゃ
乗りな(恐山ベテラン風)
「恐山」あの世と会話する“イタコの口寄せ”があるという
日本三大霊山のひとつ。そういえば訪れたことがなかった
大間漁港からは車で3時間ほど。山道を直走る
そこに広がるのは無音の世界…。この世とあの世の境界
淡彩絵の具で薄く描いたようなカルデラ湖と低い山並み
積み重ねられた石の数々
「カラカラカラカラ」と赤い風車の音だけが響く、
観光で来るようなところではないと悟る
N氏:お、杉さん、お堂だ。お参りして行こう
扉を開くなりいきなり大声で般若心経を唱えるN氏
—-湯治場だった—-
私 :Nさん、恐山、まさか初めてじゃないですよね…?
つづく
最新話は著者Instagram(https://www.instagram.com/uniteddesign_diary/)にて先行公開中
アートディレクター
杉山圭
株式会社ユナイテッドデザイン 代表取締役
同社 文化人類デザイン研究室 室長
1967 年静岡県生まれ。インテリアデザイン会社、建築設計事務所を経て、1998 年に株式会社ユナイテッドデザイン設立、主に建築・地域・都市計画、環境計画におけるグランドデザイン、コンセプトの構築及びデザイン・基本設計、アートディレクション、デザインコンサルティング業務。様々なプロジェクトにおいて、文脈と類推(自然環境、風習、風俗、地理、歴史、現象、人物、生活、社会、テクノロジーの推移等からなる)をフィールドワークから考察してコンセプト立案及び横断的なデザイン制作。また、“文化人類学”を学問としてではなく“デザイン”として捉える新しいデザインカテゴリー『文化人類デザイン®︎』を提唱する。2016 年にユナイテッドデザイン内に研究室を置きアノニマスデザインの概念の再構築とその実現を目指し、ルポルタージュとアートの接点を模索し活動。