築地日記 vol.2 『喫茶マコのマサコママ』|思い付きが書籍になるまでの義理と人情の物語
築地日記
ーあれよあれよと、思い付きが書籍になるまでの義理と人情の物語。
忘れぬうちにここに記すー
築地の取材に入る随分前から場外の「喫茶マコ」に時々お邪魔していた。
90歳のマサコママは誰に対しても歯に絹着せぬ物言いが超カッコいい。
取材することになってから看板メニューの雑煮を食べていると話し始めた。
「覚えてて、ここはね、去る時は静かに去るの。お餞別きにさせちゃうじゃない」
魚河岸は去る者追わない作法だと教えてくれた。
それから暫くしてからマサコママは引退した。
今ではマコの良さをそのまま
若いてっちゃんたちが引き継いでくれているのが凄く嬉しい。
(ママはお元気です!)
ついでに、初公開!というか、他に発表する予定もないので。
マサコママの口利きで、取材期間は喫茶マコの上に小部屋を借りて住んでいた。
同じフロアには誰もが恐れる(笑)大好きで仲良しの神山さん。
夜は市場の音が間近に聞こえる忘れ得ぬ秘密基地。
ここでフィルムを詰めて市場に入ったのだった。
つづく
最新話は著者Instagram(https://www.instagram.com/uniteddesign_diary/)にて先行公開中
アートディレクター
杉山圭
株式会社ユナイテッドデザイン 代表取締役
同社 文化人類デザイン研究室 室長
1967 年静岡県生まれ。インテリアデザイン会社、建築設計事務所を経て、1998 年に株式会社ユナイテッドデザイン設立、主に建築・地域・都市計画、環境計画におけるグランドデザイン、コンセプトの構築及びデザイン・基本設計、アートディレクション、デザインコンサルティング業務。様々なプロジェクトにおいて、文脈と類推(自然環境、風習、風俗、地理、歴史、現象、人物、生活、社会、テクノロジーの推移等からなる)をフィールドワークから考察してコンセプト立案及び横断的なデザイン制作。また、“文化人類学”を学問としてではなく“デザイン”として捉える新しいデザインカテゴリー『文化人類デザイン®︎』を提唱する。2016 年にユナイテッドデザイン内に研究室を置きアノニマスデザインの概念の再構築とその実現を目指し、ルポルタージュとアートの接点を模索し活動。
会期:9月1日(金)~11月30日(木)
会場:東京都中央区築地4-9-7 中富ビル2階 喫茶マコ隣
▼『築地考』公式サイト
https://tsukiji-ko.jp/
▼動画『Movie Collection』