築地日記 vol.5 『喫茶・愛養の甘いミルクコーヒー』|思い付きが書籍になるまでの義理と人情の物語
築地日記
ーあれよあれよと、思い付きが書籍になるまでの義理と人情の物語。
忘れぬうちにここに記すー
俺は一体何をしているんだろう…。
誰に頼まれた訳でもないのに。
そんな風に思う時もあった。
場内の喫茶店「愛養(AIYO)」は部外者でも割と入りやすかったから
撮影の合間に時々立ち寄っていた。
僕:「雨宿りさせて下さい。もうびちょびちょで」
マスター:「お?今日も撮影?ひどい雨だねぇ」
常連さんが座らないような席を目で探しながらいつものミルクコーヒーを頼む。
いつも甘いのか甘くないのか聞いてくるのだが、今日はすっと甘いミルクコーヒーが出てきた。
やさぐれた心に染み入る甘い甘いミルクコーヒー。
なんとなく甘さについて聞かれなくなった(気がする)
ー ちょっと市場の人になれた気がした ー
(やっぱ、頑張ろ!)←もすごく単純
後日談
その後仲良しになった愛養の鈴木さん(バイト)とやすこちゃん(バイト)とボク(やや関係者風)とで飲みに行く。ベロンベロンに酔った鈴木さん「俺はねぇ、仕事して、やすこちゃんとこうやって飲めたからもう死んでもいいよー」安定のやすこちゃん「あはは。死んじゃだめですよぉ!ね先生」
だから“先生じゃないっつーの”
つづく
最新話は著者Instagram(https://www.instagram.com/uniteddesign_diary/)にて先行公開中
アートディレクター
杉山圭
株式会社ユナイテッドデザイン 代表取締役
同社 文化人類デザイン研究室 室長
1967 年静岡県生まれ。インテリアデザイン会社、建築設計事務所を経て、1998 年に株式会社ユナイテッドデザイン設立、主に建築・地域・都市計画、環境計画におけるグランドデザイン、コンセプトの構築及びデザイン・基本設計、アートディレクション、デザインコンサルティング業務。様々なプロジェクトにおいて、文脈と類推(自然環境、風習、風俗、地理、歴史、現象、人物、生活、社会、テクノロジーの推移等からなる)をフィールドワークから考察してコンセプト立案及び横断的なデザイン制作。また、“文化人類学”を学問としてではなく“デザイン”として捉える新しいデザインカテゴリー『文化人類デザイン®︎』を提唱する。2016 年にユナイテッドデザイン内に研究室を置きアノニマスデザインの概念の再構築とその実現を目指し、ルポルタージュとアートの接点を模索し活動。